主人公の岩間宗達は20台後半のお酒が大好きなサラリーマン。会社の同僚や友人、はたまた1人飲みなど、あらゆるシチュエーションでお酒を楽しむ姿が描かれています。この漫画の内容を簡潔に言ってしまえば、本当これだけです。

ここ数年で、グルメ・料理漫画は著しく増加したと感じられないでしょうか。孤独のグルメが火付け役となり、食事をテーマにした漫画が多く連載され、はては既存の漫画のスピンオフとしてグルメ漫画が始まっています。

酒のほそ道の連載開始は1994年。ブームの前から連載が始まっています。開始当初から現在に至るまで、描いていることは何一つ変わっていません。しかしその中で、時代の変化はしっかりと捉えられている点が興味深いです。

以前は酒屋の角打ちで飲んでいた宗達は、時を経るにつれて最近増えている洒落た立飲み屋や、コンビニのイートインで酒を飲んでいます。時代が変わっても、その流れに合わせてのん兵衛という生き物は存在し続けていることを象徴しているかのように感じられます。連載開始から今に至るまで、酒を飲むことの魅力を変わらずに伝え続けている漫画と言っていいでしょう。

この漫画では、地方を飲み歩いたり、季節を感じるためにでかけたりする話もありますが、話の大半は近所の居酒屋の友人や同僚との他愛ない食事や酒に関する会話、家で1人飲みをしながらの独り言です。あくまで日常的な風景を描いており、ついついうなずいてしまうような話ばかり。そのような内容のため、気軽に読むことができる利点があります。一話4~5ページという短さと相まって、普段の生活のちょっとした息抜きになること請け合いです。

酒好きな方もそうでない人も、この漫画を読んでふらっとお酒を飲みたく感じることがあればいいと思い、この文章を書きました。