他人のトラブルに介入するまではいいものの、その恩をタテに、食事の金すら支払わないことによって、「ダニ」扱いされている人物が主人公という異色作です。こうした作品の場合、どうしてもセコさや後ろめたさが前面に出てくるものですが、主人公、坂田 金三には後ろめたさや小者っぽさがまったくありません。悪さをした関係者を返り討ちしたことをきっかけにちょっかいをかけてくるヤクザの組に入り込み、堂々と数千万の金を金庫から抜き取る豪快さ、どんなに多人数相手でもまったくひるまないハートの強さは、まさしく主人公そのものです。

高校生にしてヒモのような生活を送る球児の恋人からプロ入りを断念させてくれ、という依頼を受けたところから物語はアウトロー系から野球ものへと急転換、と、言いますのもこの坂田が、かつては超高校級のスラッガーだったから野球勝負で、ということになっていったからなのですが、この先の読めないストーリー展開を文字通りの力づくで押し通ってしまう坂田の主人公力にはただならぬものがあります。

もっとも、プロ入りが決まってからも自分勝手ぶりは健在。契約金が少なく元々予定していたハワイでの豪遊が台無しになったと知るや、契約金をつり上げるために、他の球団にテストを受けに行ったり、入団が決まったら、調子に乗って何十キロも太ってしまうなど、今時の主人公とは違うスタイルを見せつけてくれます。万事においてこんな調子で、最強系の主人公が力技で押し通る展開がずっと続きますので、とにかくスカっとしたい方にはオススメできます。喧嘩アリお色気アリと様々な意味で元気な感じであり、スポ根ものとはまた違う、かと言って知略戦でもないパワフルさのある野球漫画ですね。